介護施設の入居相談には、日々さまざまな背景を持った方が来られます。
今回ご紹介するのは、ちょっと特別なケース――「本人より年上の元・雇い主がキーパーソンとして来られた」例です。現場での説明の仕方や視点の切り替えが、いかに大事かを再認識した出来事でした。
ご相談に来られたのは、63歳の男性の入居希望について。
そして、見学に来られた“キーパーソン”は、なんとその方の元・雇い主の77歳の男性。血縁関係は一切なく、ご本人に家族や親族がいないため、善意で代理を務めてくださっているとのことでした。
最初は、通常通り施設の設備やケア体制などをご説明していたのですが、途中でその方がぽつりとこんなことを言われました。
「私はもう77歳です。正直なところ、どこまでこの先責任を持てるかわからなくて…」
その言葉を聞いて、私はハッとしました。
これは「本人にとってどんな施設か」ではなく、「自分がこのまま責任を果たせるのか」が最大の不安なのだと。
こういうとき、説明の角度を間違えると、相手の不安は晴れません。
私がしたのは、いったん“本人目線”での施設の魅力を伝えるのをやめ、“キーパーソン目線”での説明に切り替えることでした。
「ご安心ください。うちの施設では、万が一キーパーソンの方が継続できなくなっても、代替手段として行政との連携、成年後見制度のご紹介なども行っています。必要であれば地域包括支援センターとも連携し、最後までお預かりできる体制を整えています」
この説明をした瞬間、相手の表情がスッと柔らかくなりました。
「そういう備えがあるなら…」と、その場でご契約が決定。
この体験から改めて学んだことがあります。
それは、「誰に、何を、どんな言葉で伝えるか」がどれほど大事か、ということ。
介護の現場では、説明すべき内容が多岐にわたります。
しかし、マニュアル通りに“全員に同じ説明”をしていては、本質的な不安に届きません。
今回のように、ご本人ではなく「支える側」の不安が大きいケースも増えています。
特に現代では、高齢者同士の支え合いや、家族以外の第三者によるサポートが当たり前になりつつあります。
その中で、私たちが問われるのは、「どう安心を届けられるか」なのです。
説明の引き出しを持つこと。
相手の年齢や立場、関係性から“何が本当の不安か”を読み取る力。
そして、伝える順番や角度を柔軟に変えていく力。
この3つがそろってこそ、現場での信頼構築につながるのだと痛感しました。
こうした“ちょっと特別なケース”に戸惑う方も多いと思います。
「どう説明すれば伝わるのかわからない」
「支援者がいなくなった場合の対応策をどう案内すればいい?」
そんな悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。
現場の経験をもとに、制度や支援の実例を交えながら一緒に考えます。
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(例:後見人がいない場合のリスク管理について教えてほしい、などもOKです)
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