介護保険での福祉用具購入ルールと「8年再購入ルール」の活用ポイント

介護の現場で日々利用者さんと向き合っておられる皆さま、本当にお疲れ様です。
今回は、介護保険を使った「福祉用具の購入ルール」と、現場の提案に大きく影響する“知る人ぞ知る”ルール「対応年数8年ルール」について、実践的な視点でお伝えします。

介護保険制度では、要介護認定を受けた方が、特定の福祉用具を購入する場合に一部の費用を保険で賄うことができます。
ただし、すべての福祉用具が対象になるわけではなく、「特定福祉用具販売」として認められている品目に限られます。主な対象品目は以下の通りです。

また、利用できる上限金額も決まっています。
年間の購入限度額は10万円（保険給付は最大9万円）で、自己負担は原則1割（一定所得以上は2〜3割）です。
この限度額は毎年4月にリセットされるため、年度単位での計画的な利用が求められます。

介護保険で福祉用具を購入する際の重要な原則の一つが、「同一種目の用具は重複して購入できない」という点です。

たとえば、すでにシャワーチェアを介護保険で購入した方が、「もう一つ予備で欲しい」「違うタイプに変えたい」と希望しても、保険では対応できません。
つまり、**1回の購入が“一発勝負”**なんです。

こういった制度を正しく理解しないまま、「なんとなく」で商品を選んでしまうと、あとから「やっぱり別のにすればよかった…」という後悔にもつながりかねません。
だからこそ、初回の購入時には耐久性・使い勝手・ご本人の身体状況を踏まえた丁寧な提案が重要になります。

さて、ここからが今日のキモとなる話題です。
実は、先述の「1回しか買えないルール」には例外が存在します。

それが、「対応年数8年を超えた場合は、再度同じ種目の購入ができる」というルールです。
たとえば、8年以上前に購入したシャワーチェアが老朽化して使いにくくなった場合、介護保険を使って再購入が可能になるのです。

このルールは、厚労省の公式資料などには明記されておらず、現場でもあまり周知されていない“グレーゾーン”に近い知識です。
しかし、知っているかどうかで利用者さんへの提案が大きく変わります。

たとえば、以下のようなケースが想定されます。

利用者：「このイス、だいぶガタついてきたんだけど、もう買えないよね…？」

担当者：「いつごろ買われたか覚えてますか？ 8年以上経っていれば、再購入できる可能性がありますよ！」

このように、適切な知識があれば、利用者に安心感と納得感を持ってもらえる対応ができます。
さらに、ご本人やご家族が「まだ買い替えできると思っていたのに断られた」ようなトラブルも防ぐことができます。

ただし、8年を証明するには購入日を示す領収書や給付記録が必要になる場合もあるため、必要書類の保管や記録の確認もポイントです。

この「8年ルール」があるとはいえ、最初に購入した用具を少なくとも8年間使い続ける前提であることは変わりません。
つまり、1台目を選ぶ段階で「どれだけ先を見据えた提案ができるか」が大切です。

こうした視点を持って製品を提案することで、8年間安心して使える一台を提供することができ、結果的にクレームやトラブルの回避にもつながります。

今回紹介した「8年再購入ルール」は、あくまで例外的な仕組みであり、現場の判断力や説明力が求められる分野です。
スタッフ全員が制度の基本と例外をきちんと理解し、それを丁寧に説明できる体制を作ることで、事業所全体の対応力が底上げされます。

ぜひ、スタッフ間で共有し、事例をもとにシミュレーションやロールプレイを行ってみてください。
きっと、明日からの提案に違いが出てくるはずです。

そんな疑問がある方は、以下よりお気軽にご相談ください。個別対応も可能です。

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