前編では、特殊寝台(介護ベッド)のレンタルをめぐって、制度上の制約と、現場で対応せざるを得ない“自費対応”という実態、そしてそれを支える「暗黙の了解」についてお話しました。
今回は、その先にあるケアマネジャーとのやりとり、そして福祉用具事業所として抱えるリアルな“葛藤”について掘り下げていきます。
「介護度が上がったのに、プランに入ってない…?」という現実
福祉用具の事業所では、「今は要支援1だけど、いずれは介護度が上がるだろう」と見越して、**将来の連携を見据えた“善意の自費対応”**を行うことがあります。
ところが、いざ介護度が上がっても…
ケアプランに特殊寝台が記載されていない
↓
ケアマネに確認すると「本人がベッドを望んでいない」との回答
↓
結果、自費で借り続けることに…
こういったケースは、決して稀ではありません。
事業所としては、
「今まで赤字でがんばって提供してきたのに…」
「制度内でスムーズに切り替わると思ってたのに…」
という残念な気持ちや徒労感が正直あります。
なぜこうした“すれ違い”が起きるのか?
要因はいくつか考えられます。
- ケアマネジャーが制度上の運用しか見ていない
- 業務が煩雑化しており、事業所との連携や経緯を丁寧に見られない
- “本人の意向”がすべてになってしまうケース
- 本人の「遠慮」や「知らない」が原因でも、「本人が望まない」と判断される
- ケアマネ側の経営視点の欠如
- 特に大規模法人の一員として勤務しているケアマネは、運営や事業構造への理解が浅い場合がある
一人ケアマネと大規模法人のケアマネ、視点の違い
面白い傾向として、「一人ケアマネ」と呼ばれる個人事業主的なケアマネさんは、自分も経営者であるため、福祉用具事業所の事情にも理解を示してくれることが多いです。
「今は赤字でも、いずれ制度で補えるようにしたい」
「ここで協力しておけば、次のケースにもつながる」
こうした視点を持つケアマネとは、非常にスムーズで信頼関係のある連携が築けます。
一方で、法人内で役割が細分化されたケアマネの場合は、「プラン作成=作業」になってしまいがちです。結果として、“前後の経緯”や“裏側の負担”にまで目が届かないこともあります。
「誰が悪い」ではなく、「どうすれば共有できるか?」
この問題は、特定の誰かを責めるものではありません。
むしろ、「この状況をどうやったら共有できるのか?」という視点こそが大切です。
福祉用具事業所は、「介護保険でできること」と「できないけど必要なこと」の間を、日々調整しながら動いています。
これは制度がどれだけ整っても、**現場で“埋めなきゃいけないグレーゾーン”**が残るからです。
解決のヒント:小さな共有、ちょっとした声かけ
たとえば、以下のような取り組みが、実は大きな改善につながります。
- 初回対応時に、「今は自費で出しますが、介護度が変わったらご相談させてください」と一言伝えておく
- 月1の定期報告の中で、自費提供の利用者一覧を共有する
- プラン変更時には、利用者の“変化”をこちらから伝える
こうした**“あらかじめの共有”や“小さな声かけ”**が、結果的に善意を善意で終わらせず、きちんと制度連携に活かせる流れを作ります。
最後に:それでも、僕たちは今日もベッドを届ける
制度の中で動く私たち。
でも、その枠では届かない人がいる。
だからこそ、現場の知恵と工夫と“ちょっとのがんばり”で、今日も一台、ベッドを届けています。
それがいつか、制度とつながる日が来るように。
そして何より、利用者さんの暮らしが少しでも快適になるように。
もしこの記事に共感された方や、
「自費対応や例外給付に悩んでいる」
「ケアマネとの連携を見直したい」
そんな方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。
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